Project Story
プロジェクトストーリー
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熱くて優しい『チェリまほ』ファンの存在が力をくれた
全2回連載
インタビュー・文:大曲 智子
4月8日に公開され、ロングランの大ヒットを記録した映画『チェリまほ THE MOVIE 〜30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい〜』。2020年にテレビ東京で放送されたドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい(通称:チェリまほ)』の続きを描く完全新作の映画として、さらに多くのファンを生み出した。前回のインタビューに引き続き、アスミック・エース事業企画部の本田純子、宣伝プロデューサーの上地智子。そして本作のプロデューサーであるテレビ東京の本間かなみ氏に、本作の宣伝を振り返ってもらった。
――『チェリまほ』は、TwitterやInstagramといったSNSをうまく活用されている印象があります。ドラマから引き続き、映画もそうでしたね。
上地:ドラマの時から『チェリまほ』は、特にtwitterでの盛り上がりや拡散力がすごかったですよね。なので映画の宣伝施策でもSNSは特に力を入れた部分でした。世界観を崩さないような言葉選びはもちろん、プラットフォームごとの使い分けも意識しました。Twitterはドラマからのアカウントをそのまま使わせていただきましたが、テキストベースなので検索力や拡散力があります。リアルタイム性も強いので、情報発信や独自機能を使う展開で集約させました。毎日何かしらの発信があることを本当に喜んでいただけていたので、継続性も重視していましたね。たまに何も投稿しない日があると、「今日はどうしたんだろう」と心配してくださる方もいたので。公開2ヶ月前からは毎日投稿するようにしていました。
――Twitterで展開された「超マニアッククイズ企画」も盛り上がっていましたね。
上地:細かいところまでこだわって作られている作品なので、ファンの方々も衣装や美術など細かいところまで楽しんでらっしゃった印象があったんです。意外とクイズに向いているんじゃないかなと思いつつ、いざ問題を作ってみたら、こんな細かいことわかるのかな…というものもあったんですが(笑)。映画の公開初日、初回上映を観終えた方が正解されていて、隅々まで見てくださったんだなと驚きました。
――本間さんは、印象的だったプロモーションはありますか?
本間:上地さんたちが本当にいろんなことを仕掛けてくださったんですが、公開の1ヶ月ほど前に完成直前イベントを行って、その中で赤楚さんと町田さんにInstagram Live(生配信)に出ていただいたんです。そこで『チェリまほ』ファンの方の呼称を決めましょうということになり、お二人が「チェリ家」と名付けてくださいました。その後SNSで「#チェリ家」と使うようにしたり、呼びかける際も「チェリ家のみなさん」と言えるようになりました。思った以上に多くの方が「チェリ家」を使ってくださって、この呼称のおかげで一体感が生まれたのかなと思っています。
――「チェリ家」はどなたのネーミングだったんですか?
上地:町田さんでした。10分ぐらいのインタビューの中で、一問一答みたいな感じでバーっと質問に答えていただいた中の一つだったんです。赤楚さんも素敵な案を出してくださったんですけど、最後に町田さんが「チェリ家」を出してくださって、コメントが入り乱れてしまったこともあり、「チェリ家」に決まりました。
本間:今でもみなさんが、「私たちチェリ家なんです」という風に使ってくださるのでとても嬉しいです。
――赤楚さん、町田さんはもちろん、他のキャストのみなさん、さらには風間監督や本間さんもメディア取材を受けられていましたね。
上地:今回はスタッフ陣へのインタビュー依頼が多かったのが特徴的でした。本間さんや風間監督はキャストさん並みに人気でしたね。
本間:プロデューサーが取材を受けるって珍しいんですかね? テレビ東京は社員がインタビューを受けることが結構あるんです(笑)。映画はあまりないかもしれないですが、ドラマだとよくあることなので。とはいえ『チェリまほ』は私にとって初めてのプロデュース作品だったので、ドラマの時に初めて取材を受けました。ありがたいことに毎週取材があるような状況でしたので、そこで鍛えられたかなと思います(笑)。
――劇場での宣伝で特徴的だったことはありますか?
本田:営業部から聞いた話で、『チェリまほ』ならではだなと思ったのが、劇場の方にもファンの方が多くて、進んで予告版をかけてくださったそうです。4月8日公開だったので春休み時期から予告をかけたかったんですけど、春休み興行作品っていっぱいあるので、かけられる予告にも限りがあるんです。そんな中でも劇場の方が積極的に『チェリまほ』の予告をかけてくださり、ポスターも掲出してくださいました。とてもありがたかったですね。
ーー『チェリまほ』ならではの劇場グッズというとどんなものが?
上地:グッズはテレビ東京さんの熱意がすごかったです。たくさんのアイデアを持ってきてくださいました。
本間:ドラマの時は放送局が全国で3局しかなく、しかも深夜1時からの放送。グッズ化するなんていう動きもなかったんですよ。けどこうして盛り上げてくださる皆さんがいるのだから、グッズを作ることはもしかしたらビジネスチャンスなんじゃないかと、社内の部署が早急に動きまして(笑)。こんなに早くから動けるんだって、個人的にも驚きました。
――衣装のキーホルダーや、二人が文具メーカーに勤務していることを活かしたたくさんの文房具などがありましたね。
本間:これが好評だったからこっちもご好評いただけるんじゃないかとか、積極的でしたね。『チェリまほ』ファンは声をあげてくださる方が多いので、それが社内を動かしてグッズ化にも繋がったと思っています。グッズが発売されるたびに、ファンの方々が温かく迎え入れてくださるので、恐縮しながらもありがたいなと思っていました。
――公開中、さらに動員を増やすために行った施策はありますか。
上地:5月5日から、「無発声応援&ツイートOK上映」を始めました。公開から4ヶ月たってもずっとやってくださっている劇場さんがあったりと好評でしたね。拍手するシーンで一緒に拍手したり、思いを伝えようとしてるシーンでペンライトで応援したりという。安達が赴任先の長崎でつけていたエプロンを着けていた方もいましたね。
本間:公開舞台挨拶をやった時のことも印象に残っています。劇場にいたら若い女性の方が話しかけてくださって。「映画にしてくださってありがとうございました」と、ポロポロと涙を流されていました。しかもそういう方が一人じゃないんです。公開初日、映画館の様子を見ようと風間監督たちと一緒にいくつかの映画館を回ったんですが、男女問わずいろんな方が声をかけてくださいました。ドラマの時はオンラインイベントをやりましたが、直接声を聞くということはなかったので。声を生で聞けるってこんなに嬉しいことなんだと初めて知りましたね。
――11月9日にDVDとBlu-rayが発売されますが、注目の特典はありますか?
本間:長尺のメイキング映像を特典として収録します。撮影の裏で、赤楚さんと町田さんがどういう過ごし方をしていたのかなどオフ感も垣間見えるようなものになっているので、自分で言うのもなんですが、すごく見応えがあります! 舞台挨拶映像も収録しているので、行けなかった方もその時の温度感を一緒に体験できると思います。
――最後に、『チェリまほ THE MOVIE』に携わって感じたことをお聞かせください。
本田:4月8日が公開日でしたが、初号試写は3月の中旬でした。それほど短期間で制作された映画なんですが、本間さんや風間監督、脚本の坂口さん、そしてキャスト・スタッフのみなさんが協力してこのような素晴らしい作品にしてくださった。本当に魔法だと思っています。宣伝では、本間さんと上地のキャッチボールがスピーディだったのも成功の一因だと思いますね。SNSの言葉ひとつ選ぶのにも二人が懸命に考えてお届けしていたんですが、そういった愛情の積み重ねだったということもお伝えしておきたいです。
上地:この作品のすごいところって、アスミック・エース社内、一緒にお仕事させていただく関係各社さん、劇場さん、メディアの媒体さんなど、関わる場所ごとに熱いファンの方がいることなんですよね。そして情報解禁やSNS投稿をするたびに反応してくださったチェリ家の皆さんの存在も大きかったです。こんなにも声がダイレクトに入ってくる作品は経験したことがなかったので、それらを常に意識したことで、私も成長させてもらったなと思っています。とてもいい経験になりました。
本間:ドラマの時からずっとそうだったんですけど、終わった感覚っていうのがまだないんです。応援してくださってる方々のおかげですよね。ドラマの時はプロモーションもミニマムのパワーでやっていたので、映画で上地さんに宣伝プロデューサーとして入っていただき、プロモーションも作品の一部なんだなと初めて実感しました。本田さんはいつもお会いするたびに「大丈夫? 頑張ってね」って優しく応援してくださって(笑)。ファンの方々も温かいし、一緒にお仕事させていただいた方々、みなさんが温かかった。そういう中で映画を作れたことは本当に幸せだったなと思いますね。
「チェリまほ THE MOVIE」Blu-ray&DVD 2022年11月9日発売
発売元:「チェリまほ THE MOVIE」製作委員会
レンタル販売元:カルチュア・パブリッシャーズ セル販売元:TCエンタテインメント
公式サイト:https://cherimaho-movie.com/
©豊田悠/SQUARE ENIX・「チェリまほ THE MOVIE」製作委員会